--------------------------------------------
ロッドブランクのカラーは深いエメラルドグリーンといったカラーです。明るい自然光の下では美しく輝いています。(撮影ではあまり再現できていませんね)
さて次にグリップ。そこそこにグレードの高いコルクグリップです。最近では良いグレードのコルクが品薄ということで、ヨーロッパやアメリカの会社が出しているフライロッドでは粉々のコルクを固めたような物もありますが、このロッドに関してはいわゆる輪切り状のコルクを積み重ねた構造のようです。廉価な物によく見かける「穴埋め」は目立ちません。
全体の形状はリバースハーフウェルとして、先端部が細い物。握り方としてはインデックス・フィンガーが使いやすいでしょう。
▲インデッックス・フィンンガーのグリップ
この握り方はプロでは里見栄正さんがよく使っています。もちろんサムオントップでもOKですが、#3という低番手であり小渓流の至近距離の正確なプレゼンテーションではインデックス・フィンガーが使いやすいことは有益です。
■リールシート部とパーツ
-----------------------------------------
グリップと同様にコルク素材。ハードウッドの物も多いですが、コルクの柔らかさから装着するリールフット部の形状に柔軟に対応できるでしょう。ここが硬い木製だとリールフットの形状によっては装着不能な物がありなのでこのロッドのようなコルクシートは安心。
金属のロックパーツはガンメタに近く細かい意匠でそこそこに高級感あり。アップロックスクリュー形式。
■ラッピングとガイドパーツ他
-----------------------------------------
ラッピングは多少厚めですが十分に丁寧な作業がなされています。タレや気泡が混ざったりはなし。
未確認ではありますが、ストリッピングガイドのリングはもしかしてSiC(シリコン・カーバイト)のよう(いやーこれはちょっとわからない、黒っぽいハードリングかも)。ここまでのスペックは小渓流用のロッドにはオーバーかもしれませんが安心材料にはなるでしょう。それからこのロッドではストリッピングガイドだけでなく、それからもう一つトップよりのガイドもこのSiC?らしきリングの物が使われています。これに関してはまるで9フィート#5以上の高番手ロッドのスペックに近いもの。
▲SiC(シリコン・カーバイト)製と思しきストリッピングガイドのリング
次に、特筆すべきはロッドのジョイント部にドットのポジションマーク入り。これは廉価なフライロッドでは見られない仕様。これを付けるだけでも作業工程が必要になるわけですから、ちょっとはマシなロッドにしかありません。
この使い方は、ロッドを継ぐときに上の画像の矢印が示すドットポイントを合わせれば自動的にガイドが一直線に並ぶわけです。僕が持っている他のロッドではLoopの物しかありません。
この画像ではジョイント部メス側(トップ側)にロッドのスペックが描かれていますが、これはこの種のポジションマーク入りの物ではよくある手法。このスペック記入で他のロッドと混ざったりしないのです。
ちなみにロッドのジョイントはスリップ・オーバー。この方式は(確か)かのフェンウィックが世界で初めて採用し、高級品に多いスピゴットフェルール(印籠継:いんろうつぎ)よりも振り抜け感の良いロッドになるという物。
ところで、今カーボンやグラスのロッドはこのロッドのように4ピースが主流になっています。このピースの仕舞寸法からして遠征には重宝するでしょう。このサイズだと中型トランクに十分入りますから、飛行機での移動も楽。
以上が「見た目的」第一印象。
次に実際にこのフライロッドを振ってみよう。
■素振り感
---------------------------
まあ、フライロッドの場合はラインを通さずに素振りすることにほとんど意味はないと思いますが、読んでみてください。
このフライロッド、そこそこにシャープな感じです。そしてそこそこにチップよりなアクションと思われます。この雰囲気は、もしかするとルアー釣りのロッドを使っていた人が振っても大きな違和感はないでしょう。
このロッドの全体の強さからして基本スペックの#3は当然ながら、#4のラインを十分に背負えると思えます。強風で#3ラインが投げにくいとき、またはドライでどうしても出ないとき、沈め系フライを遠投したくなったら他のリールに巻いてある#4ラインに変更するなんてやり方には重宝するでしょう。
それから、このロッドはバットが強いです。ニジマス管理釣り場の時期、50アップのニジマスが来ても気にならないでしょう。
ロッド全体の印象としてはかのテンプルフォーク・アウトフィッターズ(TFO)のグラファイトIM6、レフティ・クレー・シグネチャーに大変酷似した感じ。(僕の手持ちのグラファイトロッドの中で)
そうだ、グリップ形状も酷似している。
もしかしたら・・・・同じ工場の同じブランク、素材から作られているのかも・・・というくらいに。
■ラインを通してフォルスキャストしてみる
----------------------------------------------
テストに使用したラインは3MのスープラLDL#3+TIEMCOのLDLリーダー5X15フィーと。たまたまリールに巻いたこのセットがあったからですけど。
このラインの特徴としては急テーパーでターンが強いこと。
さて、このフライロッドはチップアクション気味な分、ナローループは作りやすい。がしかし、そうとすれば初心者にはライン番手としてやはり#3より#4がお勧めかも。その方がラインの乗りもわかりやすく、簡単にナローループが作れてしまうだけにテーリングを回避するためにも。
全体的な印象としてはインデックス・フィンガーで使いやすいグリップとあいまって、ナローループで近距離のピンスポットを鋭く撃ち抜く、そんなイメージがありますね。
僕が行く奈良県天川など、岩で複雑な急流の中、ほとんどピンスポットしか狙えない渓流域では重宝するでしょう。またバットが強いですから大型が潜む管釣りでも安心。
■このフライロッドをどんな人に勧めたいか
-----------------------------------------------------
アクションの部分で触れましたが、このフライロッドはルアーロッド系を多く経験した人が持ち替えてもあまり違和感がないでしょう。ですんでルアーマンが初めてフライに手を出す、といった状況ではかなりお勧めかもしれません。
それから、ベテラン用のスペアのロッドとしても良しでしょう。特に遠征時に現場でメインロッドに損傷があったときなどバックアップに越したことはありません。
またアクションとして近場のピンスポ狙いに向いていそうなことから、厳しい渓流域の狭いポイント打ちには持ってこいでしょう。
そして最後に、フライフィッシングで魚を釣るということを合理的に考えたとき、使う道具のブランド名や価格といったことに囚われないという人が選ぶでしょう。
■価格の確認
--------------------------------------
さてさて、最後にこのフライロッドの価格ですが、ちょっと驚きます。そして販売元のにしきたトレーディングさんではこのロッドが送料無料。
現在の価格などの確認は下のバナーをクリックして是非ともショップに訪れてみてくださいね!
この記事に対するコメント
いやー1万円クラスのノーブランド的な竿はけっこう昔からあったと思います。ブランド名が付くか付かないか?これが大きいいかも。(フライロッド以外でも)
ロッドのブランクをけ焼ける会社は設備費回収のためにも自社ブランド以外に素材をどんどん売りたかったりということもありげ。
ただ、ノーブランド的な竿は価格だけ見ても通販では特に「買えない」のですよね。それがどんな物か判断基準がまったくありませんから。
いやーこのフライロッド、テンプルフォーク・アウトフィッターズと比べてまったく遜色ありません。
いやテンプルフォークの廉価シリーズではストリッピングガイドがハードロイなので、むしろこちらのロッドの勝ち。